第2回Lady★Goセミナーダイジェスト

「オンラインで売れる商品写真を撮ろう。プロカメラマンのテクを盗んじゃお♡」

<ファシリテーター>

アトリエDEMETAN 内原絵美

すみれデザイン 山路晴巳

 

<その道のプロ>

おんりーわんふぉとすたじお 佐藤リトル さん


ECショップに出品する時、自身のブランドサイトに掲載する時、SNSで情報発信する時など、ビジネスで商品写真を撮る機会は多いのではないでしょうか。「売れる」商品写真を撮るためには、コツがあります。美しく魅力的に撮る方法やアングルなど、今すぐ誰でも実践できるテクニックを、プロカメラマンのリトルさんに教えていただきました。


テーマ1:オンライン販売では商品撮影にこだわろう

商品写真撮影時のポイントについて、プロカメラマンの視点で解説いただきました。

 

リトル:オンラインで商品を売る場合の商品画像は、ついクリックしたくなるような魅力的な写真でないといけません。写真の良し悪しで売り上げが大きく変わると言ってもいいでしょう(図1)。商品撮影は、商品を実際に使用している写真と、ディテールがわかる写真の両方を撮るようにしましょう(図2)。

 

商品写真撮影のポイントは大きく3つあります。

1、昼間の明るい時間帯に撮影すること

2、背景色を商品に合わせること

3、白背景で撮影すること

 

一つずつ解説していきましょう。

 

昼間の明るい時間帯に撮影すること

天気が良すぎてもうまく撮れません。晴れ過ぎている日は、光が強すぎるためコントラストが強く出すぎてしまうのです。実は、撮影に向いているのは曇りの日です。曇りの日は光が柔らかく安定しているため、非常に撮影に向いているといえます。もし光が強い晴れの日に撮影する場合には、白いレースカーテン等を用いて部屋に入ってくる光を和らげてあげるとうまく撮れますよ。また、プロのような本格的な照明機材がなくとも、家にあるもので簡単にレフ板(光の反射を利用して被写体に表情を出すアイテム)の代用品が作れます。白い紙や布を用いたり、撮影者が白い服を着るだけでもレフ板効果がありますので、いろいろ工夫してみてください。

 

背景色を商品に合わせること

背景に色を入れると、撮影する商品にもその背景色が乗ってしまいます。例えば、青の背景色で撮ると、商品自体も青みがかった色になってしまいます。そのため、背景色にはできるだけ商品と同系色を用いると失敗は少ないと思います。

 

白背景で撮影すること

白背景と色背景の商品写真を比べた場合、白背景で撮影した写真の方がお客さんの目に留まりやすいというデータがあります。季節感の出るようなシーンや小物を用いての撮影、モデルを使った撮影のほか、白背景での撮影も行いましょう。

 

 

【図1:売れる商品写真とは】

【図2:写真撮影時のポイント】

内原:テクニックのほかにも、「愛情を込めて撮る」ことも大切ですよね。商品の良さをわかっている人が撮る写真が一番良いのではないでしょうか。

 

山路:グラフィックデザイナー目線の撮影アドバイスがあります。一つは、ブランドイメージを決めてから撮影するということです。誰に向けた商品なのか、使う季節や時間帯はいつなのかを考え、背景や光の当て方を考えましょう。もう一つは、背景は多めに取り、被写体はフレームに収めるということです。商品写真は、パンフレットや看板など、のちのち様々な用途でも使えるように、構図や文字入れスペースなどを考慮して撮影しましょう。

 

テーマ2:プロ写真と素人写真はこんなに違う

プロカメラマンと素人が撮った写真はどれほどの違いがあるのでしょうか。それを実験すべく、セミナー開始前の数分間で、リトルさんをはじめ、4名の方に同じ商品(本庄絣×レザーの財布、ガラスドームに入ったアクセサリー)を用いてセミナー会場内で撮影対決していただきました。

<本庄市商工観光課 小川さん撮影(スマホで撮影)>

<本庄市商工観光課 佐藤さん撮影(スマホで撮影)>

<グラフィックデザイナー 山路さん撮影(スマホで撮影)>

 

リトル:それぞれ、商品の良さが伝わる良い写真だと思いますが、光の取り込み方や、空間の使い方を工夫すれば、もっと魅力的な写真が撮れると思います。光が強く差し込んでできる影のラインをうまく活用したり、商品を中央ではなくあえて端に配置して画面に余白を作ったりすると、ドラマチックな写真が撮れます。「光」と「余白」をうまく利用して試してみてください。

<カメラマン リトルさん撮影(iPadで撮影)>

テーマ3:スマホで綺麗に撮るためには

ビジネスで使用する写真であってもスマホで撮影する人は増えています。スマホでの撮影や写真加工の際の注意点などについて、リトルさんに解説いただきました。

 

リトル:今のスマホのカメラは高性能なので、スマホで商品撮影されている方も多いと思います。スマホで撮影する良さは、撮ったらすぐ編集できるところでしょう。元々スマホに備わっている写真編集機能だけでも、サイズの変更やトリミング、色調変更など、様々な加工ができるので大変便利です。

 

内原:写真の編集・加工アプリはたくさんありますが、Google社が提供している「Snapseed」や、Adobeが提供している「Adobe Lightroom」などは、信頼性も高い上に無料ですし、かなり細かな詳細設定ができるので、こだわって加工したい方にはオススメです(図3)。

 

リトル:写真を加工する際に注意してほしいのは、「加工しすぎない」ことです。明るさやホワイトバランス、ビネット値など、詳細にパーセンテージ設定して加工する場合、数値は30%程度(高くても40%程度まで)に抑えておくと不自然にならず良い具合になると思います。

 

【図3:写真加工でこんなに変わる(加工:内原)】

左:加工前  

右:アプリで加工後(露出、ぼかし、明るさ調整、明度調整、ビネット加工を施したもの)


<ファシリテーターComment

コロナの影響でオンライン展開の必要性が高まり、オンラインショップを開く方が増えました。しかし、「商品写真がうまく撮れずに思ったように売れない」という方はとても多いようです。最近のスマホカメラは高性能ですが、やはりその性能だけに頼っていても「売れる」写真は撮れません。このセミナーの中で、講師のリトルさんは、プロカメラマンならではの撮影テクニックを、惜しげもなく伝授してくださいました。余白の使い方や光を味方につける撮影の仕方は、本当に勉強になりました。リトルさんに教えていただいたテクニックを忘れずに、これからの商品撮影で生かしていきたいですね。