第3回Lady★Goセミナーダイジェスト

魅力が伝わるキャッチコピーって?売れるコピーの作り方を教えて

<ファシリテーター>

アトリエDEMETAN 内原絵美

すみれデザイン 山路晴巳

 

<その道のプロ>

コピーライター/プランナー 山口 成美 さん

 


ビジネスにおいて文章を書く機会は意外に多いもの。例えば、オンラインショップでの商品紹介文、商談書類、補助金のための申請書類やSNS等々。経営者の中には、「文章を書くことに慣れていない」、「文章力に自信がない」、「書くのにとても時間がかかってしまう」と、自身のライティング力に不安がある人も多いようです。

売上を伸ばすには、商品の魅力をお客さまにしっかりと伝える工夫が必要です。

そして、「コピー」は、商品の魅力を端的に説明するうえで、とても重要なものです。今回、コピーライターとして第一線で活躍されている山口さんを「その道のプロ」としてお迎えし、コピーの作り方、ライティング力を上げるコツについて教えていただきました。


テーマ1:ライティング力を上げるためには

 

山口:キャッチコピーとは、「読んでくれる『だれか』へのプレゼント」です。「自分自身の好みが表現できてこそ私のキャッチコピーなのだ!」と思いがちですが、キャッチコピーは、誰かをよろこばせたり満足してもらうために生み出されたものでなければなりません。

今日は、「失敗しない文章のレシピ」として、3つのポイントをお伝えします。

 

 

<ポイント1>

◯書き始める前に起承転結のストーリーにあてはめて考える

「とりあえず書いてみる!」前に考えておきたいことがあります。「誰に伝えるのか」、「何について書くのか」、「どんなストーリーで伝えるのか」です。これは、もっとも基本的な⽂書の構成⽅法とされている起承転結にあてはめて、全体の構成を考えてみるとよいでしょう。

 

<ポイント2

 

◯自分が書きたいことではなく『相手が読みたいこと=ニーズや相手にとっての損得』を伝える

安さなのか、他の商品との違いなのか、相手にとっての「得」は何かを捉えて、それを上手く伝えてあげると「買いたい気持ち」がぐっと高まります。

また、ターゲット(商品に興味を持って買って欲しい相手がどんな人なのか)を想定して、どんな「顔つき」の文章にするか決めましょう(図1)。

 

【図1:失敗しない文章のレシピ】

<ポイント3

◯コンディションがいい時に書く

ライティングにはメンタル面も大きく影響します。体調や気分などのコンディションがいい時の方がうまく書けます。コンディションの悪い時に無理して書こうとしない方が良いと思います。また、うまく書けなくても諦めずに続けることも大事です。言葉や文章は、物事を「伝える」だけでなく、効果的に「表現」するツールでもあります。その技を書きながら作り上げていくことで「あなたらしさ」がつくられ、書くこと自体が楽しくなってくるはずです。

 

 内原:文章を書き始める時、頭の中がまとまってない中で「とりあえず書き始めてみよう」と思いがちですが、それではいい文章は書けないんですね。。。

「自分が書きたいこと=読者が読みたい内容」という思い込みを捨て、読者にとって意味がある内容かどうかを考えることが大切なんですね。

 

山口:キャッチコピーが優れていると、お客様のココロが動きます。そして、数多くの商品やサービスの中からあなたの商品を選んでもらえるようになります。コピーは、商品の魅力を効果的に伝え、購入の意思決定を促す上で本当に欠かせないものなんです。

 

 

テーマ2:「売れるキャッチコピー」にするテクニック

 

山口:商品が良くても売れない原因のよくあるケースとして、3つの切り口があるといわれています。まず一つは、「誰に」という切り口です。どんな(状況の)人に買ってもらいたいかが明確にイメージできるコピーでなければ、良い商品であっても買ってほしい人に気づいてもらえません。2つ目は、情報が不足しているケースです。購入決定に至るまでに必要な情報、サイズや素材などの細かな情報であっても全て調べて記載するようにしましょう。3つ目は、「どう伝えるか」です。特にオンライン販売では顔の見えない相手との取引であることが多いですので、自分だったらどういう風に言われたいかという視点で書いてみてください。要は、「誰に(ターゲット)」、「何を(商品の売り)」、「どう伝えるか」をしっかりおさえたコピーであることが大切だと思っています。

 

内原:冷静にターゲットや商品の「売り」を分析して設定し、コピーに落とし込むことが大切なのですね。

 

山口:その通りです。「売れるコピーをつくるコツ」について、本日のおさらいです。

 

<すぐできる!売れるコピーをつくるコツ ~おさらい+α~>

 

l  自分が書きたいことではなく、「相手が読みたいこと/ほしいもの=ニーズや相手にとっての損得」を意識する

l  起承転結の流れになっていて、話のオチがあるかどうかを確認する

l  何度も読み返す(そうすると色々気づき、さらに文章が洗練されます)

l  説得力を持たせるために「数字(エビデンス)」を使う                                               例:女性の約〇%が悩んでいる〇〇(〇〇調べ)をヒントに開発した商品です!

l  キャッチコピーとボディーコピーをわけて目に入りやすく、長い文章には見出しをつけるなど、読者が理解しやすくする

 

 

 

内原:山路さんはグラフィックデザイナーとして日々コピーに触れる機会も多いと思いますが、グラフィックデザイナーが感じるイケてないコピーってどんなものですか?

 

山路:グラフィックデザイナーが困ってしまうのは、以下のようなコピーです。

l  言いたい事が盛り沢山すぎて、文字数が長すぎる

l  ブランドの世界観とコピーの世界観が合ってない

l  美しいコピーを台無しにするフォントをチョイスしている

フォントについてまであまり深く考えない方もいるかもしれませんが、実はコピーの内容と同じくらい重要です。

私は、「紙は舞台、コピーはセリフ、フォントは役者」だと考えています。セリフをどんな役者に語らせるのかによって、商品のイメージがガラッと変わるのです。例えば、資生堂のTSUBAKIというヘアケア商品のコピー「日本の女性は、美しい」では、どんなフォントを使っていたと思いますか?答えは、「明朝体」です。明朝体以外のフォントを使用した時の見え方はこちらです(図2)。品のある美しい女性のイメージに、ゴシック体やポップ体が合わないのがわかりますね。コピーに合ったフォントを使うことは、ブランドイメージ構築のためにとても大切なのです。 

 

<図2:コピーに合ったフォントを選ぶ大切さ>

テーマ3:表現の使い分け

 

内原:ビジネスを展開していると、いろいろなメディア向けに文章を書く必要があるのですが、伝えるメディアによって表現は分けた方がいいのでしょうか?

 

山口:そうですね。どんなタイプのユーザーが多いメディアなのか、という点を意識して表現を分けてもいいかもしれません。例えば、SNSは打ち出したい自分の世界観を表現していく場ですし、メルカリやminneなどは、売買メディアですので、相手のニーズに合わせて表現する場となります。さらに、Amazonや楽天はよりビジネス寄りのメディアという認識で表現するといいと思います(図4)。

 

<図4:メディアによって表現は変えるべきか>

 

 

1つご紹介したいのは、「スマホファースト」というキーワードです。「スマホファースト」とは、スマートフォンユーザーのニーズを満たしたサイトのつくり方のことです。スマホ経由での閲覧・商品購入が急速に増えていますので、スマホ閲覧に適した書き方をしているか否かで売り上げも変わってくると思います。

タップ・スワイプのしやすさ、操作しやすいボタンの位置への配慮などの機能面への配慮だけでなく、スマホでの閲覧に適したコンテンツの量や、見出しをつけて読みやすくするなどのコピー面での工夫もしていきましょう。それから、キャッチーなコピーであることも大切です。スマホユーザが多いということは「ながらスマホ」が多いということになります。あれやこれやを同時並行でやりながらあなたのサイトを見ているユーザーに対していかに印象づけられるかは、コピーの良し悪しにかかっているともいえます。

 


<ファシリテーターComment

コロナ禍で、対面販売の機会が減り、オンライン販売の重要性が高まっています。オンライン販売では、写真と言葉だけで商品の魅力を伝えなければならず、ライティング力の有無で売り上げが変わる状況といっても過言ではありません。

本当に大変な時代に突入しましたね。

たかがライティング、されどライティングです。商品の魅力を伝え、ターゲットに届けるライティングは思っている以上に難しいもの。参加者の中には「文章に自信がない」「商品の魅力や自分の想いを言葉にうまくできない」という方も多かったと思います。

 

このセミナーの中で、山口さんは、ライティング力を上げるためのコツや魅力的なコピーにするためのテクニックについて、事例を交えながらわかりやすくご紹介してくださいました。とてもためになる内容だったので、オンライン配信もしてもっと多くの人に聞いてもらえばよかったですかね。。。

個人的には、「キャッチコピーとは、読んでくれる『だれか』へのプレゼント」という言葉がとても心に残りました。今後は、「自分が書きたいこと=読者が読みたい内容」という思い込みを捨てて、読者にとっての価値を考えながらコピーを考えていきたいですね。